不動産賃貸業を営んでおります。古くなった自宅を取り壊してその土地に新たに自宅兼賃貸アパートの建築を計画しています。この場合の自宅損失金額(未償却残高)や取り壊し費用は不動産所得の計算上どのように取り扱われるのでしょうか?

賃貸用建物を取り壊した場合の損失などの取り扱い

不動産所得の計算上では,賃貸用建物の取り壊しによる損失金額(未償却残高)や取り壊し費用などは以下のように取り扱われます。

①不動産賃貸が「事業」として行われている場合(原則としてアパートなどについて賃貸することができる独立した室数がおおむね10室以上であること。独立家屋についてはおおむね5棟以上であること)には全額必要経費に参入することができます。

②不動産賃貸が「事業」として行われていない場合にはその年の不動産所得の金額を限度として必要経費に参入することができます。ちなみに賃貸用建物に生じた損失などが必要経費に参集される理由は建物を賃貸の用に供している時は減価償却費が必要経費に算入されており取り壊しがあった時にはその残額を一時に償却したことと同様にみなされているからです。

自宅を取り壊した場合には必要経費や新築するアパートの取得価格に算入することができない

一方居住用の建物を取り壊す場合は任意に処分したものとして考えられるためその損失などの金額は「家事関連費」として取り扱う事とされています。したがって取り壊しの目的がたとえ不動産賃貸を開始するためであっても不動産所得の計算上必要経費や新築するアパートの取得価格に算入することができませんので注意が必要です。また古い建物を取り壊し更地として譲渡する場合には取り壊す建物が賃貸用か居住用かを問わず譲渡所得の計算上,譲渡費用として取り扱うこととされています。

詳しくは税理士におたずねください。