アパート1棟と店舗用建物を1棟持っています。店舗用建物を取り壊し土地を売却し、アパートを建替えるつもりです。借家人への立退料が問題となりますが、この費用は不動産取得の必要経費となるのでしょうか?

ご質問ありがとうございます。賃貸用建物の借家人を立ち退かせるために支払う立退き料は、その支払いが確定した年分の必要経費に参入されることになります。ただし、建物やその敷地を売却する為に立退き料を支払う場合は「譲渡に要した費用」として、譲渡所得金額の計算の際に控除されます。

したがって、アパートの借家人に支払う立退き料は不動産取得税の必要経費になります。しかし、店舗用建物に支払うものは必要経費に算入されることはできず、敷地を売却した譲渡所得金額の計算の際に控除されることになります。また、買主の方が不動産の取得(店舗用の建物の土地取得)に際して、借家人に立退き料を支払う事となっている場合、立退き料は不動産の取得価格に算入され、必要経費にはなりませんので注意が必要です。

借家などの立退きに際して借家人が受け取る立退料の内容としては通常次のことが考えられます。

①賃借人が建物を明け渡すことによって消滅する権利の対価としての補償金

②立退きに伴う休業などにより生じる収益の補償や従業員の給与の支払いなどの損失に対する補償金

③賃借人が立退きに伴う移転費用として、支払わなければならない費用の実費補償金

このような性格の立退き料は、いずれの場合でも消費税の課税対象に該当しないこととされています。ただし、たとえ請求が立退き料という名目であっても、その借家人が賃貸借契約を解除することなく、その地位(権利)を譲渡して対価を受け取ったものである場合は、建物の賃借権(借家権)の譲渡と考えられるため、消費税の課税対象となります。但し、詳しい話となった場合は必ず税の専門家である税理士さんにお尋ねください。