最近リノベーションやプチリノベーション、リフォームなどで「間取り変更」をしたという話を大家仲間でよくします。どのような間取り変更をすれば満室になるのか教えてください。

ご質問ありがとうございます。分譲マンションの割安化、転勤の減少などの影響か賃貸のファミリー物件で空室が増えつつあります。なかでも空室の長期化が目立つのは、入居者ニーズに合わなくなった古い物件です。

ファミリーを対象にしたある調査によると、住宅選びで一番重視するのは「広く明るいリビング」と答えた人が7割以上もいたそうです。「リビングはどのような存在か?」という質問に対しては「やすらぎ,くつろぎ,リラックスできる場」(47%)、「TV,音楽,新聞,読書を楽しむ場」(34%)、「家族や友人と楽しむ場」(14%)となっています。

築年数の古い2DKや3DKで、DKと居間の仕切りを外し、LDKとして使う入居者は珍しくありません。それは仕切りがあると暮らしにくいと感じる証拠です。その家族は、もしかすると1LDKや2LDKを希望したければ見つからず、しかたなく2DKや3DKを借りたのかもしれません。そこで、2DKや3DKを魅力的な間取りに生まれ変わらせる方法についてご説明します。

間取り変更の主な方法は次の3つです。

①スケルトン(壁,天井,床をすべて剥がす)にしてから間取りを変更

②水回り設備の位置変えも含めた間取り変更

③壁を取り払い、LDKを広くする間取り変更

費用は①②で10~30万円/坪、工期は15~30日。費用も工期もある程度かかりますが、遮音性や断熱性能の向上も同時に行う事が可能です。老朽化した配管設備も一新すれば、物件の耐久性もアップします。しかし、例えば「家賃が5万円の物件で、一部屋300万円もかけたら回収に5年かかる」」「もっと予算を抑えたい」という方も多くおられます。

そこで③の壁を取り払ってLDKを広くする方法をおすすめします。これなら天井や床を取り払う必要がありません。経費はトイレやキッチンの設備交換より低コストで、日数もさほどかかりません。注意点は、隣室が和室の場合は床の高さ調整が必要になること。また筋交いがある場合は、筋交い部分の除去は出来なくても、工夫次第で間取り変更は可能です。なお、部屋間がコンクリート構造の場合は③の工事をおこなうことはできません。

壁を取り払うと、広くて明るいLDKになるだけではなく、収納を確保できる、壁面の減少で、原状回復費用を削減できる、単身者もターゲットに加えることができるなどのメリットも生じます。空室対策と言うとすぐに「設備の取替え」を考えがちです。しかし、ニーズに合わない間取りで設備を新しくしても間取り選択の初期段階で外されます。入居者が「ここで暮らしたい」と思われる物件づくりを行って頂きたいと思います。